うるせえよ、馬鹿野郎

なんだかよくわからないけど書きます

カレーかつ丼に戦慄した話

どうでもいいことではあるのだが、僕はカツカレーが好きだったりする。

カレーも好きだがどちらかというとカツ重視のカツカレー好きだ。

カレー屋のそれよりとんかつ屋のほうを好む方である。

カレー屋の、特にチェーン店のカツカレーを僕はあまり好まない。

調理の効率を重視したあの薄っぺらい肉にはあまり心躍ることはない。やはり肉厚のトンカツが乗っていてこそのカツカレーだ。

できるならばとんかつ屋か、洋食屋でカツカレーを食べたい。

僕はそういう類の男である。

そう、あれを目にするまではそういう男だったのだ。

それは余りに唐突な出会いだった。

あの日、僕はただそばを食べるためにその店に入ったはずだった。

残業後で疲れていた。給料日前でそんなに金があるわけでもない。

ただ手早く、そして安く食事を済ませたかった。

券売機で春菊天そば(380円)を買って、急いで食べて帰って風呂に入って寝る。

それだけのはずだったのだ。

しかし奴は現れた。

店頭のディスプレイに鎮座する奴は、それほど目立つ場所に居た訳ではない。

それでも奴は異様な存在感を放ち、僕の心を捕らえたのだ。

それはカレーかつ丼といった。

カレーかつ丼。

よくわからないネーミングだ。

カツカレーではダメなのか?食品サンプルを見る限り、その姿はカツカレーに近い。

蕎麦屋で見かけるいわゆるカレー丼とは違う、カレー然とした姿をしている。

カツカレーとの違いは、カツの上に何かが乗っているということだ。

なんだ?チーズか?

おそらくチーズではないだろう。チーズならば普通にチーズカツカレーと書くはずだ。

わからない。そしてすごく気になる。

値段は540円。春菊天そばより160円高い。

160円。大した金額ではない。

時期的に地味に痛いと言えば痛いが、これで好奇心が満たされると思えば安い買い物のはずだ。

一体僕は何を悩んでいるのか。こんなよくわからないものは次に来たら無くなっているかもしれない。

もし無くなってしまったら、 たった160円のために一生後悔する事になる。

気づいたら僕はカレーかつ丼のチケットを握りしめていた。

いざ注文のためにカウンターへ、途中席を見回したがカレーかつ丼を食べている人はいない。

否応にも不安が高まる。

おい、大丈夫か。これ?

僕は見えている地雷を踏んでしまったのではないか?

違う。

自ら踏みに行ったのだ。

そう、僕は自らの自由意志でカレーかつ丼を選択したのだ。

何を恐れることがある。

相手は所詮食い物だ。食ってしまえばそれで終わりだ。あとはクソになるだけだ。

それに、例えば僕がここで散ったとしても、決して無駄ではないはずだ。

ただ好奇心を満たす。そのために160円余分に払ったのだ。

なんとしても満足させて貰わなければ。

断固たる決意を持って僕はカレーかつ丼に対峙する。

まずカレーを眺める。

特に変わったところは見られない。至って普通のカレーだ。

次はカツだ。カツはどうなっている?

サンプルにはカツの上に何か乗っていた。あれは一体なんなのか?

更に観察を続ける。

こんがりと揚がったカツの周りに何かがまとわりついている。

黄色い。そして所々白い。あと全体的に薄っすら茶色い。

 

そうか。これは卵だ。 

カツが卵とじにしてある。 

これはカツ丼だ。

 

カレーの上にかつ丼が乗っている。故にカレーかつ丼か。

そしてこれはあれだ。

 

「デブが考えた最強の食べ物」みたいなあれだ。

 

ならば僕が食べずして誰が食べるというのだ。

何しろ僕はデブなのだ。

今日この日、僕がお前に出会ったのは運命だ。

さあ来るがいい。

貴様のその狂った情熱(カロリー)は僕が全て受け止めてやる。

そして、まずカツから口に運ぶ。

甘い。出汁の甘さが口いっぱいに広がる。アツアツの卵の風味とカツの香ばしさが合わさり、カレーの香りが旨味を引き立て、、、無い。

なんだこれ?美味しくない。

いや、不味いわけではない。単純にカツが冷たいのだ。

どうやら揚げ置きのカツを使っているらしい。

なるほど、作り置きで冷めたカツでも卵とじにして再加熱し、温かい状態で出すことを狙ったのだろう。よく考えられている。

しかし今回、その目論見は失敗に終わったようだ。

正直な話、興ざめだ。

お前にはガッカリだ。

僕は悲壮なまでの覚悟で奴を倒すと誓ったのに、当の本人は手を抜いていやがる。

奴のポテンシャルは相当高いはずだ。

本気の状態なら、それはとても楽しい経験になったはずだった。

だが、今回は違ったらしい。

そそくさと食事を終え、僕は店を出る。

 

いつか

 

全力の彼に出会えることを信じて。

 

 

どうでもいいですね。